バッハ・コレギウム・ジャパン(2024.03 聖金曜日)~マタイ受難曲
バッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の演奏会に行くようになってから、春(3月下旬〜4月上旬)は、桜の開花とともにマタイ受難曲を聴くのが恒例となってしまいました。イエス・キリストの受難(十字架での磔刑)と復活(イースター/復活祭)は対になっていますが、音楽的には受難曲は十字架での磔刑により死ぬところで終わります。
マタイ受難曲はヨハン・セバスチャン・バッハの最も有名な曲の一つです。現代の大編成のオーケストラと比べると決して大きな編成ではありませんが、2組に分かれた管弦楽・合唱団・声楽のソリストが織りなす多彩な楽曲は、驚くべき壮大かつ深淵なるバッハの世界の描いています。マタイ受難曲は、その美しく分かり易いメロディーゆえに、バッハの宗教音楽を初めて聞く際にもお薦めと思います。
マタイ受難曲の私なりの感想や備忘録は以前も書いていますが *、今回は大好きな曲を整理して、どのような場面で歌われているのか再確認してみました。曲は第一部と第二部に分かれており、全68曲、演奏時間は3時間に及びます。今回の指揮は鈴木優人さんでしたが、チェンバロを弾きながらのたいへん熱のこもった指揮でした。第二部の中頃に歌われる有名なアリア(第39曲、第49曲、第52曲)が終わり、終盤に入ると優人さんの表情も柔和に和やかに変わっていきました。また、若きカウンターテナー(アルト) アレクサンダー・チャンクさんの美しくもよく通る声が素晴らしかった。
*(2023.5)(2023.4)(2021.4) (2019.4) (2018.3) (2017.4) (2016.3) (2015.4)
第一部(第1曲~第29曲) 弟子の裏切りなどによりイエスが捕らえられるまで
第1曲 合唱 2組のオーケストラと合唱団、声楽のソリスト (イエスの受難を目撃したエルサレムの信者、世の罪を負って十字架にかけられたイエスを象徴的に歌う。)
第20曲 アリア(テノール)+合唱 ー主の苦悩は我らの喜びとなるー オーボエ・ダモーレなどの伴奏 (ペテロ裏切りの予言など、イエスに迫り来る危機への信者の不安を描く場面)
第27曲
A) アリア(ソプラノ、アルト+合唱)ー私のイエスは捕らえらえたー
B) 合唱 (歌詞)稲妻よ、雷よ、雲の中に隠れてしまったのか、・・・・・
(ペテロやユダの裏切りにより、エルサレムの祭司長や長老たちがイエスを捕らえたことに対する信者の悲しみ)
第二部(第30曲~第68曲) エルサレムの司祭長や長老たちがイエスを裁判にかけ、イエスが十字架に架けられ、埋葬・告別までの場面
第39曲 アリア(アルト) ー悔い改める者に哀れみをー (歌詞)憐れみたまえ、我が神よ、・・・・; 主にヴァイオリンと通奏低音の伴奏 (イエスが予言したペテロの裏切りを、ペテロ自身が悔いて泣く場面)
第49曲 アリア(ソプラノ) ー神の愛より出る魂の救いー (歌詞)愛により我が救い主は死のうとされる、・・・・・; フラウト・トラヴェルソ、オーボエ・ダモーレなどの伴奏 (ローマ帝国エルサレム総督の裁判で、ユダヤの司祭長や長老たちがイエスを十字架にかけるように求める場面)
第52曲 アリア(アルト) ーわが心を、血の受け皿としてー (歌詞)我が頬を流れる涙が、・・・・; 主にヴァイオリンと通奏低音の伴奏 (イエスが鞭打ちに処せられ、続いて十字架に向かう場面)
第68曲(終曲) 合唱 ー安らかに眠りたまえー (イエスへの哀悼と告別)
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