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2023年9月25日 (月)

バッハ・コレギウム・ジャパン(2023.9)~初めてのシューベルト・ミサ曲

 

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「バッハ・コレギウム・ジャパン」は古楽器(ピリオド楽器)を用いたバロック音楽のヨハン・セバスチャン・バッハの演奏団体として発足しましたが、教会カンタータの全曲録音が完了したのちは、鈴木雅明氏(BCJ音楽監督)も鈴木優人氏(首席指揮者)もその演奏対象を広げるべく様々な作曲家の宗教曲や歌劇(および交響曲・協奏曲・器楽曲)を演奏しています。バッハと同時代のバロック時代ではヘンデル、古典派ではハイドン、モーツァルト、ベートベン、稀ですが近代現代のキリスト教を題材とした作品(メシアン、ブロッホ、メンデルスゾーン)、そして最近ではロマン派にも徐々に及んでいるようで、シューベルトやブラームスなどです。

今回はシューベルト・ミサ曲第5番の演奏でした。初めて聴く曲でしたが、とにかく元気なミサ曲といった印象でした(笑)。合唱団もいつもに増して素晴らしかったでしたが、ソリストではバスの大西宇宙さんの存在感が大きかったでした。

 

今回の演奏会のプログラムに掲載されていた貴重な解説などをもとに、備忘録として少し整理してみました。

ヨーロッパ文化では絵画や音楽はキリスト教に根ざしています。ミサはカトリック教会での中心的な礼拝ですが、ミサはイエス・キリストが最後の晩餐で、弟子にパンを自分の肉、ワインを自分の血と見立てて分け与えたことを再現し、そして処刑ののちに復活したキリストを祝う儀式として、毎週日曜日に行なわれてきました。その儀式で読まれるラテン語の典礼文が、いわゆるミサ曲の歌詞となっています。この典礼文は、ある程度の抑揚を持って読まれていました。仏教における般若心経も、お坊さんが読む際に不思議な抑揚があるのと同じです。このような抑揚を持って読まれていたミサの典礼文を単純なメロディにしたのがグレゴリオ聖歌です。歌による祈り(讃美)はキリスト教の大きな特徴です。ミサ曲は、グレゴリア聖歌(8世紀半ばのフランク王国)から始まり、バッハ・ヘンデル・スカルラッティの時代(18世紀前半)でピークを迎え、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世の「宗教寛容令」(1781)によりカトリック教会の力が大きく削がれミサも簡略化され、モーツァルトもミサ曲を書かなくなりました。

 
(注)同じキリスト教でも宗教改革(16世紀)で生まれてきたプロテスタントでは、ミサでは「カンタータ」(様々な楽器による伴奏付きで、ドイツ語による声楽曲)が演奏され、バッハは多数のカンタータを作曲しています。

 

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 「ミサ曲」とはミサの典礼文に付けられた音楽ですが、聖日・祝日の種類によらず毎回用いられる5つの式文が「ミサ通常文」と呼ばれています。
1)キリエ(慈しみの讃歌)~初期キリスト教会の祈りの言葉に起源
2)グロリア(栄光の讃歌)~キリスト誕生における天使の歌
3)クレド(使徒の信条)~「ニカイア信条」(西暦325年)における信仰告白
4)サンクトゥス(感謝の讃歌)~新旧訳聖書の詩を複合
5)アニュス・デイ(神の子羊=キリスト)~キリストを象徴する呼びかけ

これらが全て揃ったのは11世紀ごろのようです。さらにこれら全てに曲付けした「完全ミサ曲」として今に残る有名な曲が、14世紀の「ノートルダム・ミサ曲」です。

 
ところで現代でも演奏される有名なミサ曲というと、バッハ「ロ短調ミサ曲」、モーツァルト「ミサ曲ハ短調」、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」「ミサ曲ハ長調」、シューベルトのミサ曲(全6曲)、ロッシーニ「小荘厳ミサ」、ブルックナー(全3曲)などがあります。これらは、実際のミサで演奏された記録が無く、どちらかというと現代で言う演奏会用(バッハの時代には演奏会という概念自体がありませんでしたので、音楽家として神に直接捧げる楽曲とも言われています)として作曲されたようです。

なお「レクイエム」はミサの一種で、レクイエム=死者のためのミサには葬儀や追悼のミサが含まれます。「レクイエム」(楽曲)の構成は通常の「ミサ曲」とは異なっています。モーツァルト、フォーレ、ヴェルディ、ケルビーニ、ベルリオーズなどにより、多くのレクイエムが作曲されています。

 

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