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2023年9月29日 (金)

東京都立大学〜「日本の植物分類学の父」牧野富太郎が遺したもの〜

 

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高知県出身で「日本の植物学の父」の呼び名で広く知られている牧野富太郎博士の人生をモデルとしたNHKの朝ドラ「らんまん」。1958年(昭和33年)に練馬区立牧野記念庭園(1926年に居を構えた自宅の跡地)、高知県立牧野植物園(高知市)、東京都立大学牧野標本館ができました。今回、東京都立大学牧野標本館別館(南大沢キャンパス)で期間限定で開催されていた「牧野富太郎が遺したもの」〜植物標本展示など〜 を見に行く機会がありました。

現在の「東京都立大学」は、旧・東京都立大学 (1949-2011、1991年目黒区から現在の南大沢に移転)、組織改変で首都大学東京へ(2005-)、大学名称の変更で再び東京都立大学(2020-)と変遷していますが、膨大な植物標本が牧野博士とあまり関係が無かった「東京都立大学」になぜあるのか? よく質問されるそうです。東京大学や国立科学博物館にあった方が自然なのですが、練馬区の自宅に残された膨大な標本はほとんどが未整理状態であったので、どこも引き取り手がなく、1953年に尾崎行雄(政治家、元東京市長)と共に「名誉都民」第1号になったことが、都立大学に引き取られる直接的な理由だったそうです。

 

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展示されている植物標本を見てびっくり! いわゆる「押し花」ですが、まさにアートです。スケッチを見ても、欧米でよく見るようなボタニカル・アート! 幼少の頃から絵心に優れ、美的感覚も人並み優れていたのでしょうね。果物や野菜の「押し花」標本もあり、びっくりしました。自宅に1点くらい飾っておきたいような感じ(笑)。

期間限定の展示ということもあり、予想外に賑わっていました。9月のキャンパスは、学部学生にとってはまだ夏休みだそうで、閑散としていました。緑豊かなキャンパス(一部に秋の気配も)を散策し、学食でランチを食べたりカフェでお茶を飲んだりしながら、ゆったりとした時間を過ごしました。遠い昔のキャンパス・ライフを少し思い出しながら・・・・。

 

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2023年9月25日 (月)

バッハ・コレギウム・ジャパン(2023.9)~初めてのシューベルト・ミサ曲

 

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「バッハ・コレギウム・ジャパン」は古楽器(ピリオド楽器)を用いたバロック音楽のヨハン・セバスチャン・バッハの演奏団体として発足しましたが、教会カンタータの全曲録音が完了したのちは、鈴木雅明氏(BCJ音楽監督)も鈴木優人氏(首席指揮者)もその演奏対象を広げるべく様々な作曲家の宗教曲や歌劇(および交響曲・協奏曲・器楽曲)を演奏しています。バッハと同時代のバロック時代ではヘンデル、古典派ではハイドン、モーツァルト、ベートベン、稀ですが近代現代のキリスト教を題材とした作品(メシアン、ブロッホ、メンデルスゾーン)、そして最近ではロマン派にも徐々に及んでいるようで、シューベルトやブラームスなどです。

今回はシューベルト・ミサ曲第5番の演奏でした。初めて聴く曲でしたが、とにかく元気なミサ曲といった印象でした(笑)。合唱団もいつもに増して素晴らしかったでしたが、ソリストではバスの大西宇宙さんの存在感が大きかったでした。

 

今回の演奏会のプログラムに掲載されていた貴重な解説などをもとに、備忘録として少し整理してみました。

ヨーロッパ文化では絵画や音楽はキリスト教に根ざしています。ミサはカトリック教会での中心的な礼拝ですが、ミサはイエス・キリストが最後の晩餐で、弟子にパンを自分の肉、ワインを自分の血と見立てて分け与えたことを再現し、そして処刑ののちに復活したキリストを祝う儀式として、毎週日曜日に行なわれてきました。その儀式で読まれるラテン語の典礼文が、いわゆるミサ曲の歌詞となっています。この典礼文は、ある程度の抑揚を持って読まれていました。仏教における般若心経も、お坊さんが読む際に不思議な抑揚があるのと同じです。このような抑揚を持って読まれていたミサの典礼文を単純なメロディにしたのがグレゴリオ聖歌です。歌による祈り(讃美)はキリスト教の大きな特徴です。ミサ曲は、グレゴリア聖歌(8世紀半ばのフランク王国)から始まり、バッハ・ヘンデル・スカルラッティの時代(18世紀前半)でピークを迎え、オーストリア皇帝ヨーゼフ2世の「宗教寛容令」(1781)によりカトリック教会の力が大きく削がれミサも簡略化され、モーツァルトもミサ曲を書かなくなりました。

 
(注)同じキリスト教でも宗教改革(16世紀)で生まれてきたプロテスタントでは、ミサでは「カンタータ」(様々な楽器による伴奏付きで、ドイツ語による声楽曲)が演奏され、バッハは多数のカンタータを作曲しています。

 

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 「ミサ曲」とはミサの典礼文に付けられた音楽ですが、聖日・祝日の種類によらず毎回用いられる5つの式文が「ミサ通常文」と呼ばれています。
1)キリエ(慈しみの讃歌)~初期キリスト教会の祈りの言葉に起源
2)グロリア(栄光の讃歌)~キリスト誕生における天使の歌
3)クレド(使徒の信条)~「ニカイア信条」(西暦325年)における信仰告白
4)サンクトゥス(感謝の讃歌)~新旧訳聖書の詩を複合
5)アニュス・デイ(神の子羊=キリスト)~キリストを象徴する呼びかけ

これらが全て揃ったのは11世紀ごろのようです。さらにこれら全てに曲付けした「完全ミサ曲」として今に残る有名な曲が、14世紀の「ノートルダム・ミサ曲」です。

 
ところで現代でも演奏される有名なミサ曲というと、バッハ「ロ短調ミサ曲」、モーツァルト「ミサ曲ハ短調」、ベートーヴェン「ミサ・ソレムニス」「ミサ曲ハ長調」、シューベルトのミサ曲(全6曲)、ロッシーニ「小荘厳ミサ」、ブルックナー(全3曲)などがあります。これらは、実際のミサで演奏された記録が無く、どちらかというと現代で言う演奏会用(バッハの時代には演奏会という概念自体がありませんでしたので、音楽家として神に直接捧げる楽曲とも言われています)として作曲されたようです。

なお「レクイエム」はミサの一種で、レクイエム=死者のためのミサには葬儀や追悼のミサが含まれます。「レクイエム」(楽曲)の構成は通常の「ミサ曲」とは異なっています。モーツァルト、フォーレ、ヴェルディ、ケルビーニ、ベルリオーズなどにより、多くのレクイエムが作曲されています。

 

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2023年9月20日 (水)

<MOVIE> 北アルプス 雲ノ平・三俣蓮華岳 2023夏 /  JAPAN ALPS Kumonodaira & Mt. Mitsumatarenge Summer 2023

 

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youtube動画(MOVIE) SD/HD/4K(リニューアル 2024/11)

 

(1) 折立、太郎平&薬師沢(Oritate, Tarodaira and Yakushizawa mountain lodges)

 

(2) 雲ノ平&雲ノ平山荘(Kumonodaira & Kumonodaira mountain lodge)2023夏 ver. 3.2

 

(3) 雲ノ平&祖父岳(Kumonodaira & Mt. Jii )ver.3.2

 

(4) 黒部源流域(Headwaters of Kurobe River)ver.3.2

 

(5) 三俣蓮華岳&三俣山荘(Mt. Mitsumatarenge & Mitsumata mountain lodge)ver.3.2

 

(6) 三俣山荘、双六小屋、鏡平山荘、わさび平小屋(Mitsumata, Sugoroku, Kagamiike and Wasabidaira mountain lodge)ver.3.2

JAPAN ALPS August 2023, Panasonic LUMIX S1 LUMIX S 24-105mm F4 MACRO O.I.S.

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2023年9月 6日 (水)

太郎平小屋・薬師沢小屋・雲ノ平山荘・三俣山荘・双六小屋・わさび平小屋(8) ~黒部源流域・槍穂高連峰展望の旅 2023夏

 

◆鏡平山荘 

山荘の前から、またすぐ近くの鏡池から、槍ヶ岳・穂高連峰がよく見えます。鏡池ではおこじょがしばしば走り回っています。近くに巣があるのでしょうか。今回は休憩とトイレのみです。ここに来るとついかき氷を食べてしまいます(笑)。ドコモが山荘の中、山荘前で繋がります。携帯電話がつながるので、公衆電話(衛星電話)はありません。

 

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◆わさび平小屋 

新穂高温泉から路線バスで帰るために、お風呂があるこの山小屋を重宝しています。今回も1人でのんびりとお風呂を利用できました。ただし、私の相部屋は風通しが悪く、夜も非常に暑くて汗みどろで、辛かったです。山小屋の中では、食堂を除くと、部屋以外に過ごす場所が無く、屋外のベンチで、水に冷やされている野菜・果物・ビールなどを眺めながら、風に吹かれて過ごすのが最も快適です。往復でこちらを利用する場合は連泊扱いになるようで、事前連絡で夕食メニューも変更してくれるようです。

ドコモは圏外です。公衆電話(衛星電話)もあるのですが、現在故障中とのことで今回は利用不可でした。

ここから新穂高温泉(ロープウェイ乗場、バス停)までは1時間少々、もうすぐです。

 

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夕食

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朝食

 

(おわり)

 

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2023年9月 5日 (火)

太郎平小屋・薬師沢小屋・雲ノ平山荘・三俣山荘・双六小屋・わさび平小屋(7) ~黒部源流域・槍穂高連峰展望の旅 2023夏

  

◆双六小屋

 
こちらも”交通の要衝”です。新穂高から三俣山荘などの黒部源流方面に行く人、西鎌尾根から槍ヶ岳に登る人などです。

山小屋の前からは、鷲羽岳、南真砂岳・餓鬼岳・燕岳などが見えるようですが、毎回悩んでしまいます(笑)。伊藤新道も見えます。ドコモは不安定ながらも山小屋の前で繋がります。公衆電話(衛星電話)も使えます。

 

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夕食
 

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こちらはオーソドックスな山小屋ですが、普段の日常生活と比較しても過ごし易い所です。夕食は天ぷら御膳が売りです。大きなかぼちゃを含めて、たくさんの天麩羅が美味しいです。昨年ですが、悪天候による連泊時の夕食は豚肉の蒸し物(?)でした。比較的広い和室の談話室がありますが、団体さんが多く、空いていないと個人はなかなか入りにくいです。まあ、仕方がないですね。ここでよくTシャツを買います。

 

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朝食
 

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(次回が最終回です)

 

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2023年9月 3日 (日)

太郎平小屋・薬師沢小屋・雲ノ平山荘・三俣山荘・双六小屋・わさび平小屋(6) ~黒部源流域・槍穂高連峰展望の旅 2023夏

 

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(前回の三俣山荘の続きです)

この夏8月20日に正式にオープンした話題の伊藤新道も、スタッフの方から薦められて、山荘からちょっとだけですが歩いてみました。花が咲き乱れ、槍ヶ岳・穂高岳連峰の見え方が少し変わったり、赤茶けた硫黄尾根が間近に見えてきたり、良かったでした。

 

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2階展望食堂で、夕食終了後、夜のスライドショーがありました。親子3代にわたる伊藤新道の映像です。照明も夕食時とはちょっと変わって雰囲気のある中で、アルコールやケーキセット(サイフォン・コーヒー付き)を頂きながら、映像をじっくりと楽しむことができました。三俣山荘の小屋主さんとしては、父の意志を継いで「伊藤新道」を復活させ、この北アルプス最深部で新たな登山ルートのネットワークを作り出したいようです。「伊藤新道」は沢登経験者や山岳ガイドさん付きの登山者向けのルートですが、詳細な登山ルートマップも公表されており、北アルプス最深部に向かう上級者用(?)の魅力的なコースとなりそうです。国内でガイドさんを頼む機会はなかなかありませんが、このようなコースだとお願いする目的がはっきりしているので、良いかもしれませんね。




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山荘の前からは槍ヶ岳から北鎌尾根がよく見えます。携帯電話利用はソフトバンクが主で、ドコモは三俣峠付近から上の三俣蓮華岳山頂で繋がります。山荘には公衆電話(衛星電話)があります。

(続く)

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2023年9月 2日 (土)

太郎平小屋・薬師沢小屋・雲ノ平山荘・三俣山荘・双六小屋・わさび平小屋(5) ~黒部源流域・槍穂高連峰展望の旅 2023夏

 

◆三俣山荘

ドアを開けて中に入ると、大きな黒板に天気予報と各方面への登山道の情報が分かり易く書かれています。改めてここが北アルプス最深部に位置する”交通の要衝”であることを認識させられます。鷲羽岳・水晶岳・裏銀座の野口五郎岳などを目指す人、雲ノ平に降る人、三俣蓮華岳・双六岳・双六小屋に行く人など。さらに再開したばかりの伊藤新道・湯俣温泉コースも。

こちらも話題の多い山小屋です。2021年の年末にNHK BSスペシャル「“黒部の山賊”~北アルプス秘境の山小屋に生きる」が放送されました。空いた時間に、山荘でこの録画を再び見たり、「黒部の山賊」の3部作を読んだりしました。最初に出た写真集が最も印象的でした。受付の周辺には、いろいろな情報が盛りだくさんです。三俣山荘のオリジナル切手などもありました!

 

 

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三俣山荘の食事で有名なのはなんと言ってもジビエ料理です。夕食に提供されるジビエ(鹿肉)のシチュー、朝食に出るイノシシ肉のジャンボ・ソーセージ(サルシッチャ)、昼食で食べられる鹿肉のジビエもみじ丼。朝昼晩の3種のジビエメニューはすべて食べてみました。どれも臭みなどは一切無いので、誰でも普通に食べられると思います。

連泊の夕食は同じジビエシチューか魚料理の選択。もちろん再びシチュー。ジビエシチューは確かに美味しいのですが、追加料金でシカ肉がたくさん入った「スペシャル」メニューがあっても良いような感じでした(しかし値段が非常に高くなってあまり現実的ではなさそう 苦笑)。朝食の猪のソーセージも良かった。ビールに合いますね。これならば、通販で買って、自宅でも食べたいです。ジビエもみじ丼は、雰囲気は牛丼に似ています。味はやや淡白かもしれません。

 

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夕食 
  
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朝食
 

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(次も三俣山荘です)

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