宮内庁楽部の雅楽演奏会に行ってきました
10月22日〜24日の3日間行われた宮内庁の秋の雅楽演奏会に、運良く抽選があたり、行く事が出来ました。
演奏会は例年の行事で、今までも何度か申し込みはしたのですけれども、今回初めて当選しました。事前の勉強もせずに行きましたが,第一印象としてはたいへん良かったでした。
会場の宮内庁楽部は、皇居東御苑の一角にあります。大手町近くの大手門や竹橋に近い北桔橋門から入ります。東御苑自体は公園として一般公開されていますが、宮内庁管理下にあるので、入園に際してはぎょうぎょうしいですね。東御苑は想像以上に綺麗でした。
楽部の建物の前に設置されたテントで受付をします。早目に行ったものですから、良い順番で並ぶことが出来ました。
建物に一歩入った瞬間、二つの事に驚きました。まず、楽部の建物=お役所の建物で演奏会場はその一部のつもりで行ったのですが、一歩入ったそこが華やかな舞台のある演奏会場で、先ずびっくり。楽部=コンサート・ホールでした。
次は、足元が白の小砂利で敷き詰められていることでした。つまり舞台の周りの観客席は、すべて小砂利。これは舞台自体が屋外をイメージしているのでしょうか? 勉強不足で良く分かりません。
客席は一階が主で、二階は少数の席と昔の衣装や楽器などが少しですが陳列棚に展示されていました。舞台や周りの観客席には、寺社に良く見る擬宝珠(ぎぼし)と同じものが、赤く塗られて沢山立ち並んでいます。元来は神仏への奉納ということでしょうか?。
雅楽とは、日本古来の歌と舞、5〜9世紀に中国・朝鮮から伝来した器楽と舞が日本化したもの、それらを基に民謡や漢詩を歌詞とする歌などの総体で、10世紀(平安時代中期)に完成したものだそうです。当時は、宮廷・貴族社会・有力寺社で行われてきたそうです。
源氏物語にも出てきますね。第7帖「紅葉賀」、あるいは田辺聖子さんの新源氏物語(1)では「燃ゆる紅葉のもと人は舞うの巻」で舞楽の話が出て来て、光源氏と頭中将が帝の前で青海波を舞って素晴らしかったということです。
今回演奏時間は1時間半、前半は管弦(器楽、器楽伴奏で歌われる民謡)、後半は舞楽(中国系と朝鮮系の2題、器楽伴奏付きの舞)でした。器楽演奏者は16名、舞楽の踊り手はそれぞれ4名でした。管弦の曲目は比較的短いのですが、舞楽はかなり長くて少々驚きました。また曲目・演題にもよるのかもしれませんが、管弦では意外と繊細な調べの印象でしたが、舞楽ではその舞に負けないほど重厚な器楽演奏で驚きました。
太鼓等の打楽器は、装飾も美しくまさに工芸品ですね。舞台の手前中央の太鼓には獅子が描かれています。舞台後方の左右にある大きな太鼓、右の大太鼓には鳳凰と上方には銀色の玉状のものが、左側の大太鼓には龍と上方には金色の玉状のものが施されています。もっとも演奏者は、太鼓の後ろに隠れてしまい、どのように太鼓を叩いているのかよく分かりません。舞楽の際の太鼓の響きはなかなかの迫力です。
東儀秀樹さんで一躍有名になった篳篥(ひちりき)、確かに旋律楽器なんですね。琵琶や琴(楽箏、和琴)は、現在のバンドのベースのような雰囲気でしたが、琵琶なんて演奏の所作もちょっと格好良くてメロディーも奏でられそうに思いますが、どうなんでしょうか。笙(しょう)も面白いですね。音程が狂わないように、演奏の合間にいつも火鉢の側で振りながら暖めているのが、可笑しいというか面白い。つい見とれてしまいます。上の白い器です。音色も何とも言えない雰囲気で、シルクロードっぽいと言うのでしょうか。
管弦の際の装束は茶系で、これは衣冠なんでしょうか。意外と地味な装束です。舞楽の舞人の装束は曲目によっても違うようです。今回、左方の舞と呼ばれる中国系(唐)の慶事の際の舞楽では、無地の華やかな橙色系の狩衣?に冠(兜?)です。また、右方の舞と呼ばれる朝鮮系(高麗)の舞楽では、綺麗な萌黄色の狩衣?の中に太鼓に見られる獅子が小さくデザインされていました。いずれも4人で踊るのですが、ペアーで踊るというよりも、同じ所作で踊る群舞のようです。管弦の楽師の人達も、舞楽の際には装束を着替えてきます。遠目に見て、その装束が素晴らしく綺麗なようですが、舞台の奥の方にいるので詳しく分かりません。残念でした。
その他、若い楽師さんも結構いたのに驚きました。
また普通のコンサートと違って拍手をするタイミングが分かりません。結果として、管弦と2曲の舞楽の最後、計3回、皆さんが退出した時に拍手となりました。最後に楽師や舞人の皆さんが全員出てくるわけでもなく、それで終わりでした。
演奏会終了後も皆さん記念写真を撮ったりして、管弦と舞楽の音色と色彩がまだ頭の中を流れている中、三々五々会場を後にしました。
「雅楽」 別冊 太陽、平凡社、2004年 に詳しく載っていました。これからゆっくり読みたいと思います。主な画像は、クリックで大きくなります。
撮影機材
Panasonic DMC-LX3
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