ヴェネツィアとCONTAX 645 カタログ (Venezia and catalogue of CONTAX 645)
数年前にヴェネティアに行きました。CX645のカタログ自体がヴェネティアなので、プロに挑戦というところでしょうか(笑)。日本の有名な写真家の多くが、ヴェネティアの写真集を出しています。カーニバル、霧のヴェネティア、海に浸るヴェネティアなど、被写体もさまざまです。
(1) まず、最初のSonnar T* 210 mm F4による橋の欄干の彫刻の作例ですが、これはヴェネツィアの有名な観光スポット、リアルト橋でした。このような彫刻が橋の両端と両側に計4カ所あります。実際行ってみると、撮影ポイントがほとんど限定されてしまいます。時刻を変えて2回行ってみましたが、晴天のためいずれもピーカンで、パッとしない仕上がりでした。
実物は白〜灰色の薄汚れた大理石ですが、作例ではモノトーンの階調やディーテールが良く再現されているということでしょう。さりげなく見える作例にもいろいろと計算されているという印象で、やはりSonnar T* 210 mm F4も良く写っていると再認識しました。
撮影にはもっと季節・天候・あるいは夕刻と時間を選ぶ必要があったようです。
(2) 評価の高かったSonnar T* 140 mm F2.8によるライトアップされたゴシック建築の作例ですが、実はこのようなシーンが見つかりませんでした。日没前後のゴンドラに乗って、約1時間撮影ポイントを偵察したのですが、このようなライトアップ自体がほとんどありません。大きな観光名所は当然ライトアップされていますが、現在住民が減少しているためもあり、運河沿いの一般の建物や住居には目だった明かりがありません。それに揺れるゴンドラからこのような写真を撮るのはやはり無理なようで、十数コマ撮ってほとんど全滅でした。
もっともゴンドラに乗ったと言っても、乗船場所により各種コースを巡るので、撮影ポイントも何処かにあるのかもしれません。水上バス(中型船)に乗って撮る手もありますが、夜も観光客が多いので場所の確保や移動が難しそうです。
(3) これまた評価の高かったApo Macro Planar T* 120mm F4のマスク(仮面)?の作例。仮面舞踏会のマスクは、みやげ物店のショーウインドーを華やかに飾っています。私はあまり撮りませんでしたが、色とりどりで、絵にはなります。GR21のカタログもヴェネティアです。
(4) 次に如何にもヴェネツィア的な光景であるDistagon T* 45 mm F2.8によるトワイライトの大運河(キャナル)の作例ですが、実はこのような情景はいたるところにあり、このような写真は逆に素人にも撮りやすいと思いました。
私も20:30〜21:30にかけて、さまざまなシーンを撮ってみました。手前にゴンドラ、運河を挟んで、遠方にライトアップされた有名な寺院、あるいは華やかなホテル群など。またサンマルコ寺院の夜景も絵になります。ところで岸辺からゴンドラをDistagon T* 35 mm F3.5で撮ると、岸辺の海藻などが写り込むので、作例のようなDistagon T* 45 mm F2.8の方が使い易すそうです。作例のポイントはやはり三日月がタイミング良く入っていることでしょうか。今回満月が出ていましたが、写真とは無関係の方向で残念でした。
一方、日の出の時間帯にも挑戦しましたが、光の状態にトワイライトほどの美しさはありませんでした。
(5)Apo Macro Planar T* 120mm F4によるヴェネティアングラスの作例。実は妻が古い雑誌も含めてヴェネツィアやヴェネツィアングラスの特集の記事を切り抜いてためてあったのですが、その中に、ヴェネツィアングラスのテーブルセット〜逆光に輝く運河〜寺院群という、ハーフトーンのたいへん洒落たカットがあり、是非まねてみたくなりました。
宿泊したホテルのテラスレストランで真似事をしてみたのですが、すぐにこれは容易ではないことに気がつきました。まずグラス自体が非常に高価な物らしいこと、逆光になる時間帯がよくわからないこと、撮影スポットが非常に特殊な場所らしいことなどで、かなりお金のかかった(笑)撮影らしいことに気がつきました。というわけで、事前にあれこれ想定したにもかかわらず、これには非常に残念ながら挫折しました。後から分かりましたが、雑誌の撮影スポットは、ヴェネツィアで一、二を争う有名ホテル ホテル・ダニエリ(Hotel Danieli)の屋上にある、これまた有名なテラスレストランでした。ダニエリまで行っていたのですが、残念。
(6)作例とは関係ありませんが、ホテルでの妻の記念撮影でTLA200が活躍してくれました。コンタックスでは小型ストロボはあまり使わないし、その意味ではTLA360は価格が高すぎるし大きいし、というわけで、645にTLA200なんて邪道かと思いましたが、とにかく小さいので内蔵ストロボのつもりで持って行きました。
グリッテイ・パラス(Hotel Gritti Palace)、壁には大きな肖像画と大きな鏡。壁沿いには多数のガラス照明と燭台、天井には大きなシャンデリエと、反射物体多数の上、妻の顔は完全な逆光状態です。顔をスポット測光し、+1〜2段露出補正をして、TLA200は自動発光にしたところ、鏡からの反射も無く、顔を含めて光もうまく回っていて、なかなか良い雰囲気で撮れていました(偶然もあるかもしれませんが・・・)。すっかり満足してしまいました。
(7) ヴェネチィア=645カタログ写真でしたので、図書館で写真集やガイドブックを借りてきたり、その他女性雑誌を見て、良い撮影スポットがないか、どのようなシチュエーションが良いのかいろいろ思案しました。撮影イメージを事前に決めておいて、それを重点的に狙いました。事前にもっと光の状態を把握しておく必要がありました。しかしあまりにも準備をしすぎると、初めて行った感動が失せてしまいますので、バランスが肝心です。またヨーロッパに行ってもトワイライト〜夜景というのはあまり撮ったことがありませんでした。安全上の問題などあるかと思いますが、今回良い経験をしたと思っています。
以上のような私の感想に対して、以下のような御指摘を頂きました。
(8) 撮影時の光線までこだわると、一般的な観光旅行の時間帯からずれるので、体力面ばかりでなく安全面での注意もより重要です。トラブルについては、何事も慣れてきた頃に注意が必要でしょう。
(9) ヨーロッパには特に有名な場所でなくても、フォトジェニックな場所が多い。
(10) 事前の調査や準備によって良い写真が撮れたら、満足感も大きいし、写真は機材ではないと言う事も痛感します。言い換えると、良い被写体を良いタイミングで撮ることで、その成果を無駄にしないために、良い機材と撮影の腕が必要です。(プロの方からで、私も同感で、実に含蓄の多いサジェスションだと思います。)
(本文は、以前サイト内のClub CONTAX 645 で書いた記事の一部に加筆したものです。)
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