「漢詩の手帖 いつかたこぶねになる日」を読んで
図書館で借りた本です。
「漢詩の手帖 いつかたこぶねになる日」
著者は、小津夜景(おづ やけい)さん。
1973年、北海道生まれ。
フランス在住の俳人。
この本は、エッセイと漢詩の翻訳です。
漢詩の翻訳が書き下し文ではなくて現代語訳で、これが自由な翻訳で新鮮でした。
漢詩には詳しくないのですが、こんな翻訳の漢詩を初めて読みました。
新しい感覚の漢詩の本で驚きでした。
しかし、一番印象に残った頁は、エッセイの「旅行の約束」。
著者が、85歳のマリーさんのお宅を訪問した時の話です。
若い頃にアルジェリアに住んでいたマリーさんが、「わたしは思い出よりもあこがれの方が好きなの」。
「つまり、(アルジェリアが)どのくらい変貌したかしらと空想して楽しんでるわけ」と語ります。
「私は思い出より憧れの方が好きだ」
これは、フランスの登山家のガストン レビュファの名言だそうです。
登山家のガストン レビュファをネットで調べてみました。
ガストン レビュファは、フランスの登山家、山岳ガイド、作家、映像作家。
文学作品や山岳映画で、人々に山の美しさや素晴らしさを紹介した方です。
ああ、ガストン レビュファを思い出しました。
昔、映画館で「星にのばされたザイル」を観たことがあります。
ガストン レビュファが製作、監督、脚本、出演した、アルプスの美しさを描いた山岳映画でした。
満天の星空に感動して、山の美しさに胸をときめかしたものです。
このエッセイを読んで、山岳映画「星にのばされたザイル」を久しぶりに思い出しました。
懐かしい思い出です。
私は、憧れも好きですが、思い出も好きです。
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